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多汗症

多汗症は、全身の汗が増加する全身性多汗症と、手のひらや足の裏、わきなどの体の一部で汗が増加する局所多汗症があります。全身性多汗症の場合は、原因のわからない原発性と、感染症や内分泌代謝異常、神経疾患に合併するものがあります。
局所多汗症にも、原因のわからない原発性と、外傷や腫瘍による神経障害が原因となるものがあります。

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局所多汗症とは

局所多汗症には掌蹠、腋窩、頭部顔面多汗症があります。掌蹠多汗症は、幼小児期や思春期に発症し、手のひらや足の裏に精神的緊張などにより大量の発汗がみられます。手足は絶えず湿っていて冷たく、そのために湿疹や皮めくれ、感染症などをよく起こします。
腋下多汗症は、ワキにのみ精神的緊張や温熱刺激で、左右対称性に多汗が見られます。掌蹠多汗症が見られることもあります。
頭部顔面多汗症は、男性に多く長期間持続(2~20年以上)し、数年にわたって毎年増悪することがあります。熱い飲食物の摂取後やストレスによって、シャワーを浴びたかのように汗が滴り落ちることがあります。

局所多汗症の治療法

保険診療

  • エクロックゲル
  • ラピフォート
    ワイプ
  • アポハイド
    ローション

原発性腋窩多汗症では、最近保険適用の薬であるエクロックゲルやラピフォートワイプが発売されました。また、原発性手掌多汗症ではアポハイドローションも発売されました。これらは、12歳以上で診断基準を満たした方のみ使用可能です。1日1回の外用で、交感神経に働きかけ発汗を抑制します。

自費診療パーピレックス

その他の治療には塩化アルミニウムの外用があります。塩化アルミニウムの治療はガイドライン上第一選択ですが、保険診療に適用の外用薬がありませんので、自費診療での治療となります。副作用にはかぶれがあります。かぶれた場合は使用を中止し、ステロイドの外用にて加療します。当院では、塩化アルミニウム製剤であるパースピレックスを採用しています。

原発性腋窩多汗症ではその他の選択肢としてボツリヌス療法があります。満15歳以上で、診断基準や重症度を満たした場合には保険診療で治療を受けていただくことが可能です。
その場合2万円~2万5千円程度のお支払いとなります。

ボツリヌス療法(ボトックス)

ボツリヌス療法とは、ボツリヌス菌の作り出すA型ボツリヌス毒素をごく少量投与する治療法です。ボトックス注射は、天然のタンパク質からできたボツリヌス毒素を分解、精製したもので、ボツリヌス菌が直接体内に入るわけではないので、感染の危険性はありません。
ワキ汗はエクリン汗腺と呼ばれる腺から分泌されます。この汗腺はアセチルコリンを神経伝達物質とする交感神経節後ニューロンに支配されています。A型ボツリヌス毒素は神経終末におけるアセチルコリンの放出を阻害し、神経から汗腺への神経伝達を遮断することで、発汗を抑制します。

治療方法・期待できる効果

両ワキに細かくボトックスを注射していくことで、局所の過剰な発汗を抑制していきます。ボトックスの効果は通常、注射後2〜3日で現れ、1〜2週間で安定します。遮断された伝達は、数ヶ月で回復するため、発汗抑制効果を維持するためには反復投与が必要です。効果持続期間は、個人差がありますが、国内外のデータで通常4〜9ヶ月とされています。効果減弱後はボトックスの再投与が可能ですが、中和抗体の出現を避けるため最低4ヶ月は間隔をあけさせていただきます。

副作用

原発性腋窩多汗症患者を対象とした国内臨床試験において、総症例144人中3人(2.1%)に副作用が報告されています。その内訳は、ワキ以外からの発汗の増加3人、四肢痛1人でした。アレルギー性の副作用として、皮膚の発疹、かゆみや消化器症状(吐き気、腹痛)、息苦しさ、声のかすれ、ショック症状などの副作用が起こる可能性も否定できません。

次のような方はボツリヌス療法を受ける前に、必ず医師に申し出てください。

  • 全身性の筋肉の脱力などの病気(重症筋無力症、ランバート・イートン症候群、筋萎縮性側索硬化症など)がある場合は、病状が悪化する可能性があるため使用できません。
  • 喘息などの慢性的な呼吸器の症状がある方、緑内障の方、アミノグリコシド系抗生物質、パーキンソン病の治療薬、精神安定剤、筋弛緩剤を内服中の方は、病状が悪化する可能性があるため使用できません。
  • 妊娠中、授乳中の方。妊娠の可能性のある方は、ボトックスの投与中及び最終投与後の2回の月経を経るまでは避妊してください。
  • 男性は、ボトックスの投与中及び最終投与後の少なくとも3ヶ月は避妊してください。
  • この薬を以前使用し、発疹などのアレルギーを経験したことがある場合や、アレルギー体質の方は申告してください。
  • 他の施設でボツリヌストキシンの投与を受けている場合には、投与量や投与日、投与部位を必ず申し出てください。

ボツリヌス療法を受けたあとには、次のようなことにご注意ください。

  • 注射部位を揉まないでください。薬剤が必要範囲外まで広がり危険です。
  • 注射当日は、入浴や激しい運動は控えてください。
  • 妊娠の可能性のある方は、ボトックスの投与中及び最終投与後の2回の月経を経るまでは避妊してください。
  • 男性は、ボトックスの投与中及び最終投与後の少なくとも3ヶ月は避妊してください。

料金表

満15歳以上の、重症原発性腋窩多汗症の方は、保険診療にてボツリヌス療法を受けていただくことが可能です。そのためには診断と重症度の評価が必要です。条件を満たされた方のみとなりますので、ご了承ください。また、保険適応があると診断後に薬剤の発注を行うので施術まで1〜2週間いただくことがあります。上記の診断基準を満たさなくても、ワキ汗を止めたい方は、自費診療にてボツリヌス療法を受けていただくことが可能です。詳細は料金表をごらんください。

ボツリヌス両方両ワキ
フォロワー価格 一般価格
ボツリヌス両方両ワキ 68,000円 / 1回 70,000円 / 1回